2021年4月10日土曜日

父はパンにうるさい



 3月末頃はゴールデンウィーク時分の暖かさが続き、桜も満開になりました。仕事帰りに土手の桜並木を堪能しました。


 
 4月初めの週末は実家に帰り、片付けを手伝いました。

 父は昔写真に凝って、部屋に暗幕を張って暗室を作り白黒写真を現像したり、カラー写真をスライドにして家族で上映会をしたりしていました。そのスライドフィルムがたくさん出てきました。

 妹は父に「もう見ないんだから捨てていいね?」と言って躊躇なくごみ袋へ入れていきます。確かに置いていても見ることはないと思います。わかってはいるのですが、父の人生の一部が消えていくようで寂しい気がしました。

 父も母も溜め込むタイプだったので、それを片付けている妹はつくづく嫌になっていて、とにかく今使ってないものは全部捨てる勢いです。建て替える家は平屋で収納も限られており、不要なものを残しておくスペースはないし、溜め込んだいろいろなものを一気に整理するチャンスなのです。そう、わかってはいるのですが。

 まあ、父の趣味の品まで引き受ける気はありませんが、母の留袖とか一枚板の座卓とか復刻版の雑誌「赤い鳥」とか…譲り受けることにしました。いつか我が家の子どもたちや甥・姪が結婚式をするときに、母の留袖を着ることがあればいいなぁ。

 最近、旧家から豊臣秀吉の手紙が発見された話がニュースになりました。たとえば江戸時代のとある人の日記などでも、のちの世では当時の暮らしや社会の様子がわかる史料になります。でも、現代の価値観では個人の人生にまつわる品はすべて死ねばゴミ、残して迷惑をかけないよう生前に処分することが当然と考えられています。これでは歴史に空白ができてしまうかもしれませんね。

 帰宅して、お雛様を片付けて父の部屋を作りました。我が家をリフォームしたときに父が贈ってくれた電波時計とLEDシーリングライトを取り付けました。この二つは父の最強のアイテムで、これでいくらかは父にとって居心地のいい部屋になったでしょうか。

 10年前に亡くなった母はクリスマスローズが好きで、表のプランターに何種類も植えていました。その後妹がたまに水をやるぐらいで放ったらかしにしていましたが、健気に生き延びて花を咲かせています。妹が要らないのだったら貰おうと思っていたのですが、これだけは残したいから預かってと言われ、掘り上げて持ち帰りました。

 せっかくなので妹に返す分と我が家にもらう分と、株分けをして植えました。何とか根付いて育ってくれることを祈っています。

 4月に入り平年並みの気温に戻り、少し肌寒さを感じます。桜はほとんど散ってしまいました。代わりに白山吹やつつじが咲いています。



 父は好き嫌いがなく、総入れ歯で硬いものでも平気で食べます。ただ、パンにはうるさいのです。朝食の食パンはハード系の山食が好み。それもただのハード系ではなく、中までサクッとしたものでないとダメなんです。

 今、食パンの主流はふわっふわのソフトでリッチな食感のものです。そういう食パンはスーパーにも何種類もありますが、父好みのパンはなかなかありません。フロインドリーブの山食やイスズバーカリーのハード山食なら合格ですが、たまにしか買えないしどうしようかと困っています。

 そういえば父の硬いパン好きは筋金入りでした。子どもの頃休日に六甲山などによく登りましたが、その時のお弁当はおにぎりと卵焼きではなく、フランスパンにチーズとオイルサーディンだったのです。45年程前のことですからとんでもなくおしゃれなお弁当ですね。

 父好みの(実は私好みでもある)ハード系食パンを探すミッション。これは難しい(>_<)

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