梅雨明け前の1週間ほど、毎日曇り/雨のお天気でした。いつ雨雲がわいて雷雨になるかわからない不安定なお天気が続いていました。
父はそもそもじっとしているのが苦手な上に、我が家にいるとあまりすることがなく、退屈になると「ちょっと走ってくるわ」と自転車で出かけています。しかし雨が続くとなかなか走りにも行けず、暇で仕方がない様子でした。
その日、朝は曇りでしたが私が出勤するころにはいつ降り出すかわからない感じでした。テレビで雨雲レーダーを見て、「もうすぐ雨が降るみたいよ」と話して洗濯物も部屋干しにして出勤しました。案の定しばらくするとかなり強い雷雨になりました。
昼休み、次男から「ジイサンが帰ってこない」とメールがありました。家を出たのは10時頃と思われます。降り出す前に家を出て、途中で雨にあって動けなくなり、どこかで雨宿りをしていると思われました。2時まで様子を見て、帰らなければ探しに行こうか。私も早退して警察にも相談して…と考え、とにかく何かあればすぐ連絡してと言って仕事に戻りました。
探しに行くと言っても一体どこにいるのか全く分かりません。携帯は持っていないし、困ったことになりました。
心配で仕事にも身が入らない中、2時前に知らない番号から携帯に着信がありました。掛けなおすと見ず知らずの女性で、父が雨で動けなくて助けを求められたとのこと。父には自宅の住所と電話番号、私と次男の携帯と職場の電話番号を書いた迷子札を持たせていました。父は通りすがりのその人に頼んで、電話をしてもらったようです。私が出なかったので、その人は次男にもかけてくれ、父の居場所を告げてくださいました。
次男は父の合羽やお茶やお菓子を準備し、自分も合羽を着て自転車で父を迎えに行ってくれました。ところが父は「その場で動かないように」と次男の伝言を聞いたにもかかわらず、30分待っても来ないからもう来てくれないのだろう、雨も止んだし、自力で帰ろうと移動を始めたようです。
次男が聞いた場所に着いた頃には父はもういなくて、次男はそのあたりを1時間ほど走って父を探し回りました。父は父で今自分がいる場所がよくわかっていなかったのですが、帰り道を探してウロウロとして、次男が探索を切り上げて自宅に戻るより少し早く、3時半ごろに帰りついていたそうです。
私が仕事から帰ると次男はふてくされてのびていました。雨の中合羽を着て迎えに行ったのに逃げられて、へとへとになって帰れば父からご苦労の一言もなく、次男は腹が立ちながらも父に昼食を食べさせ、シャワーを浴びてひっくり返っていたようです。
後日、父はあの時雨宿りをした場所を探しに行くと一人で2度出かけましたが、2度ともたどり着けませんでした。迷子になったのがよっぽど悔しかったのでしょう。昨日次男が一緒に行って、ようやくすっきりしたようです。
梅雨が明け連日の猛暑です。自転車で走り回るのはいいのですが、事故や熱中症のリスクと背中合わせです。でも父を縛り付けておくことはできないし、危ないからと家に閉じ込めることが父の幸せではないでしょう。ご飯を美味しく食べられて、行きたいところへ自分で行ける自由をできるだけ長く保って欲しいと思います。