築90年の古民家でグループホームをしています。利用者は70代男性一人。その方がこの古民家の持ち主です。世話人は30代男性と60代女性の2名。居室は個室で、他に共用のLDKに風呂トイレ。世話人2名は住み込みです。
女性の世話人は日中は別にパート勤務をしており、朝夕の食事の準備と洗濯(洗って干す)、夕食の準備、休日には簡単な共用部分の片付け、買い出し、平日の夕食の作り置きが主な業務です。その他の業務はもう一人の世話人がしています。
この利用者さんは身辺自立されており、認知機能も保たれていると思われますが、老人性難聴のため音声言語でのコミュニケーションがかなり取りにくくなってきました。筆談をしようとすると嫌な顔をされ、大きな声で話すと何か文句を言われているような気がするらしく、明らかにムッとした表情になります。ご飯やお風呂など、必要最低限のことはゼスチャーを交えて伝えることができますが、こちらの気持ちや考えを伝えることはほぼできません。
この利用者さんは、定年退職後1年間再任用で働いた後、自己都合退職をされ、1~2年はたまに実家に帰って独居のお母様と過ごし、お母様の認知症が進んでからは実家に軸足を移して食事の世話や通院などお母様のお世話をされていました。やがてお母様は大腿骨骨折が原因で車いす生活になり、病院から介護老人保健施設へ移り、実家の近くの特別養護老人ホームに入所することになりました。それを機に自宅に戻る選択肢もあったのですが、お母様の身の回りの日用品を施設に届けたり、毎日短時間でもお母様のそばで過ごし、手荒れのケアなどをして差し上げたいということで、実家で一人住まいを続けることを選ばれました。
その後、コロナ禍のために面会が制限されたり、体調を崩したお母様の通院に付き添ったりと、色々とありましたが、無事お母様を見送り、実家じまいをして自宅に戻り、グループホームの入居者となられました。
お母様と同居していらっしゃったときは、お母様のために3食用意し、朝起きて夜に寝る生活をしておられたと思うのですが、お母様が入院されてからは好きな時間に寝て起き、お腹が空けば何か食べるという風に自由気ままな日々を過ごすようになられたと思われます。
自宅に戻って来られた当初は、朝食の準備をして寝ていらっしゃるところを起こし、食卓についていただいていました。でも、何時に就寝されたのか分かりませんが、眠りながら朝食をとられるという始末で、同じことが夕食時にも頻繁に起きるので、3食食べていただいてきちんと栄養を摂っていただくことが大事なのか、質の良い睡眠をとっていただく方が良いのか、(本当は両方大事なのでしょうが)悩みに悩み、まずはしっかり寝ていただくことを重視することにしました。
私たち住み込みの世話人が就寝する深夜12時ごろ、利用者さんの部屋の電気は必ずついています。利用者さんはゴミ出しと庭の草取りを自らかって出てくださっているのですが、どうもゴミの日はゴミステーションに出しに行くまで起きていらっしゃって、その後就寝されているようで、私が朝食をとる時間には寝ておられます。夕食も見たいテレビがあると自室で食べるとおっしゃいます。
なまじっか夕食をリビングのこたつで一緒に召し上がると、テレビを見ながらネガティブコメントを言い続けられます。初めは気にしないように自分に言い聞かせていても、テレビの話題が変わるたびに他者に対する敬意を欠いた発言を延々と聞かされると、食事の時間自体が苦痛になってしまいます。
私は仕事で関わる方について、その方が笑って過ごすことができる居場所がありますようにと願って支援しています。我がグループホームの利用者さんにとって、ここが笑って過ごせる場所であればいい。どうしたらそういう居場所になるのだろうかと、本当に日々悩んで悩んで考えて考えているのですが、利用者さんがリビングで過ごすよりも自室にこもられて、好きな時間に寝て起きて、食べて、あるいは食べずにいらっしゃる様子を見ていると、もうどうすればいいのか分からなくなってしまうのです。
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