山田洋次監督の映画『男はつらいよ』は、テレビシリーズで人気を博した後、昭和44年に映画第1作となる『男はつらいよ』を制作。以後平成7年の第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』まで26年間にわたり盆正月の国民的映画でした。
第17作『寅次郎夕焼け小焼け』は龍野市(現在のたつの市)がロケ地に選ばれています。地元では数年前からロケ地巡りマップが作られたり、柴又で開催される寅さんサミットに出席したりして、『男はつらいよ』そして『寅次郎夕焼け小焼け』を愛する人々の熱意が形になりつつありました。
今日はロケ地の一つでもあるたつの市立中央公民館で、当時の撮影に関わった人のお話と映画の上映、ロケ地巡りウオーキングが開かれました。
龍野がロケ地に選ばれたきっかけは、山田洋次監督と一人の大部屋俳優の繋がりからだったそうです。その俳優は江藤孝さん。龍野市出身の江藤さんは俳優を志し、松竹に在籍していろいろな映画に出演されました。しかし父親が亡くなって帰郷し、家業を継がれたそうです。
その江藤さんに、ある時山田監督から「龍野のことを教えてほしい」 と電話がありました。江藤さんの話の中で「龍野には芸者がいたんですよ」というところに何かを感じた監督、さっそく江藤さんの案内で龍野を訪れ、古い街並みを丹念に見て回ってイメージを膨らませていかれたそうです。
映画では太地喜和子が龍野芸者のぼたん役でマドンナを務め、なんとこの作品では寅さんが失恋しないという珍しい設定になっています。
また、江藤さん自身も龍野にやってきた大画伯・池ノ内青観(宇野重吉)と寅さんを乗せる市役所の車の運転手役で登場しています。
江藤さんは2年前に急逝されましたが、もし生きていらっしゃったら今日のイベントでも、じかにお話を伺えただろうなと思います。実は江藤さんの娘さんとうちの娘が仲良しで、家も近くでした。以前俳優をされていたことは聞いていましたが、詳しくうかがう機会もなくて残念でした。
今日は江藤さんのことをいろいろと聞くことができて、本当にうれしく懐かしかったです。
撮影当時も現在も、龍野では朝の7時、夕方(5時か5時半)、晩の10時に龍野出身の三木露風作詞の童謡「赤とんぼ」のメロディーが流れます。このメロディーにも寅さん映画の秘話がありました。
実は撮影当時の赤とんぼはシンプルでちょっと寂しさを感じるメロディーでした。映画でもその音が収録されて夕暮れのシーンの背景に流れています。山田監督はこの赤とんぼの編曲を山本直純に依頼し、現在龍野で流れているのはそのアレンジによるものなんだそうです。
映画の撮影は41年前。スクリーンに映る町並みは今とまったく同じではありませんが、ずいぶんと残っているものも多くて興味深いです。
そして、やっぱり寅さんの映画は良かった!
笑って、最後にはほろりとし、心が温かくなりました。
秋には寅さんイベントの第2弾を計画中だそうです。 楽しみに待ちたいと思います。
娘さんのお友達のお父様が俳優をされていたのですね~。じゃあ、まだ、お若くしてお亡くなりになられたのかもと思ってしまいます…。
返信削除>かずっちさん
削除娘の友達は末っ子で娘は第一子なので、いくらか年上のお父さんでした。いくつで亡くなっても驚き寂しいものですね。