2017年11月2日木曜日

「恩おくり」本郷由美子さんのお話

 先週、本郷由美子さんのお話を聴きに行きました。本郷さんは2001年に大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件で小学校2年生だった娘さんを亡くされています。

 事件後、葬儀などのこと、捜査や裁判のことなど様々な手続きが押し寄せ、気が休まることがなかったそうです。その一方、目に映るものの色彩が消えるほどの悲嘆に暮れました。生きることもできない、死ぬこともできない・・・という時間を過ごされたということです。

 そんな中でグリーフケアということを知り、本を読んで学び始められました。警察の捜査によって、、教室で刺されて瀕死の傷を負った娘さんが、廊下に出て出口に向かって68歩歩いて力尽きたことが分かりました。その現場に毎日通い詰め、娘さんが最後まで希望を捨てず歩き続けた68歩のメッセージから、生きる力を取り戻されました。

 同じように事件で子どもさんを亡くされたご両親との出会いから、言葉ではない寄りそいによって力づけられるという体験をされています。

 その後、精神対話士の資格を取り、上智大学グリーフケア研究所専門コースで学び、支援される側から支援する側へとなり、遺族ケアや終末期のケア、東日本大震災で被災された方のケア、いのちの授業などの活動を続けておられます。

 支援される立場だった時に受けたご恩を、今悲嘆の中にいる人に恩おくりする・・・。その思いで活動されているということです。

 
 生きたいと願って出口に向かって歩き続けた優希さん。どんな人でも、いのちの最後の時まで、生きようとするものだと私も思います。意識するしないに関わらず。その最後の願いを引き継ぎ、引き受けて残された者は生きていくのだろうと思います。

 本郷さんほどまっすぐに活動することはなかなかできませんが、たとえ少しでも、恩おくりができればいいなと思います。



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