2018年1月28日日曜日

女ジャイアンの介護は難しい

 おばあちゃん(夫の母92歳)、年明けに風邪をひきました。年末から風邪気味だったのですが、1月になって夫ともども本格的な風邪ひきさんになり、咳がひどく熱も出て、食欲もなくなりました。

 夫はちょっとした風邪気味でもおばあちゃんに市販の風邪薬、それもかなり強いものを飲ませているので、「高齢者は薬の代謝機能が落ちているので、市販薬を安易に飲ませてはいけない。効きすぎてふらついたり、体に負担がかかる」と何度も言って、受診を勧めました。

 ところが、当のおばあちゃんが「医者には行かん、寝てたら治る」と頑として拒否。調子が悪ければ絶食して寝て治すという昔ながらの対処法が染みついているのです。だから少しでも食べるよう勧めても「要らん」と食べず、おかゆならのどを通るかと出したら「嫌いなものを作った」と怒る始末。

 仕方なく夫は自分も熱が出て咳がひどいので自分一人で近くの内科に行きました。幸い夫はインフルエンザではなく肺炎にもなっていなくて薬を出してもらいました。その時に先生に「高齢の母親がやはり風邪で調子が悪いがどうしても連れて来ることができないので往診してもらえないか」と頼みました。先生は「一度も受診したことがない人には往診できないので、とにかく一度連れて来て下さい」と言われました。

 それで何とか連れて行こうと説得したのですが、「行かん。寝てる」の一点張りでてこでも動きません。おばあちゃんは生命力があって3週間ほどして何とか症状が軽快し、食事も一日1食だけなら何とか食べるようになってきました。


 しかし、このままではこの先命にかかわる事態になっても受診させることは難しく、万一の場合は警察沙汰になり行政解剖されてしまうことになります。それを避けるために救急車で病院に運べば、老衰であっても検査や積極的な治療を受けたいという意思表示になるので平穏な最期とは程遠くなってしまいます。

 そこで訪問診療を利用できないかケアマネージャーさんに相談しました。岡山市は在宅療養の先進地で訪問診療をする医療機関も多いと聞いています。訪問診療医が主治医になってくれれば、定期的な訪問で健康状態を見て、必要な処置もしていただけるし、お風呂に入れない、着替えをしてくれないといった困りごとも訪問看護を組み合わせて助けてもらえるのではないかと期待しました。

 しかし、現在週1回のデイサービスを利用しているので、「デイに行ける人が訪問診療を受けるのは整合性に欠ける」ということで、 両方を利用することはできない、訪問診療を導入するならデイサービスは止めることになるがどうするかという話になりました。

 デイサービスは主に入浴をさせてもらいたいために行っているのですが、それもおばあちゃんは「昨日入ったから今日はいい(本当は昨日入っていない)」とか何とか言ってほとんど入らないのです。とにかく頑として人の言うことを聞かない人なので、どうしようもありません。

 仕方なく自宅で入浴をさせることになりますが、自宅のお風呂は寒く浴槽のふちが高くて乗り越えられないために夫が引っ張り上げる必要があります。手伝いに行っても素直に聞くおばあちゃんではありません。「もういい、一人にしてくれ」などと手助けを拒み、仕方なしに外で待っていると体が冷え切ってからようやく外に出ることができる始末。これでは寿命を縮めるためにお風呂に入っているようなものです。

  それで夫は何とかデイでお風呂に入れてもらえる道を残したいと、訪問診療をあきらめることにしました。そうなると万一の時どうなるのかという心配が残ります。ケアマネさんから、かかりつけ医を作る(往診してくれる内科にとにかく一度受診させる)ことを助言されました。風邪は良くなっているのですが、しんどい時には絶対に動かないので、なんでもない今連れて行くことを考えています。

 ケアマネさんからは、病院に行かないとかデイでお風呂に入らないなどのおばあちゃんの問題行動に対して、夫が主体的にかかわる必要があるといわれました。デイに連れて行く時に、おばあちゃんが理解できないから、嫌がるからと「ドライブに行こう」とだまして車に乗せてますが、それをちゃんと「デイでお風呂に入れてもらおう」と言って連れ出すようにする、そういうことが大事なんだそうです。


 しかし、家族だからわかる問題の根本は、おばあちゃんが『ジャイアン』だということです。おばあちゃんはいつも人より上でないと気が済まないお山の大将だった人です。92年の人生で、親の言うことも聞かない、夫(亡くなったおじいちゃん)の言うことも聞かない、ましてや息子の言うことなんて聞くわけがない、それを通してきた人です。人に指図はしても、自分が指図されるなんて我慢できません。だから、いくら年をとっても、誰の言うことであっても、素直に「はい」と言わないのです。

 女ジャイアンのおばあちゃんに対して、これまで家族のだれも逆らったり意見をしたりしませんでした。言えばややこしくなるのでいつも周りが黙って穏便に済ませてきたのです。それが介護をされる立場になった今、ものすごく夫を困らせています。

 ケアマネさんやデイの職員さんから見たら「頑固なおばあさんと気の弱い息子さん」かもしれませんが、おばあちゃんの本性は誰にも負けたくないジャイアンなんです。それが困難の真の原因だと思います。そういう人にどう対処するか、経験から教えていただきたいのです。

2 件のコメント:

  1. いつも、詠ませて頂いています。
    コメントがなかなか残せなくて、ごめんなさいね。
    お義母さんのこと…、お義母さんにどうお話しさせて頂いたらいいのか…。
    なかなか、正解は、導き出せません…。
    最近は、義理の両親も、お元気ではありますが、体調を壊すことも多くなり、こたびの北陸地方の毎日1メートルの雪が降るという大雪の日には、こたつにこんもりと潜って、こたつむりになっています。
    それがいいのかも??
    お風呂は、薪のお風呂で、今のところは、二日に一度のペースで沸かしています。
    湯壺が深いので、入浴介助が必要になったら、大変に困ることになるだろうと、予想できます…。
    なるようにしかならないけれど…。
    なかなかむつかしいですね。

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    1. >かずっちさん

      いつもありがとうございます。
      大雪のニュースを見てかずっちさんのところも大変だろうと思っていました。毎日1メートルとは…。義両親様でなくてもこたつむりになっていたいですよね。雪かきや雪下ろしがあってそうもいかないと思います。お怪我や事故がないよう気を付けてくださいね。

      実家が薪のお風呂なんですが、やはり毎日沸かすことができません。今は父親も一人で入浴できていますが、介助が要るようになればどうにもならないだろうなと思います。

      おばあちゃんは先日1か月半ぶりにデイサービスに行きましたが、「何度もお誘いしましたが入浴されませんでした」とのこと。困ったことです。

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